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狭心症と心筋梗塞の違い(機序の観点から)

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狭心症と心筋梗塞の違いと言えば、狭心症は詰まってはいるが何とか血流があって、心筋梗塞は完全に詰まっているというのが一般的なイメージだと思うし、それで正しいとは思うが、医者になる身としてそれだけでは不十分である。

狭心症に至るまでの道のり

動脈は、内膜・中膜・外膜で構成されていて、内膜は内皮細胞という細胞に覆われている。この内皮細胞が様々なリスク因子によって障害されることにより内皮細胞下にマクロファージが入り込む。そのマクロファージが酸化LDLを取り込んで泡沫細胞と化する。
←LDLはマクロファージに存在するスカベンジャーレセプターというものに取り込まれ、ある限界を超えるとこれ以上取り込めませんよということで取り込まなくなるが、酸化LDLはこのようなセンサーをマクロファージが持ち得ていないために際限なく取り込まれてしまう。その結果、マクロファージが破綻して泡沫細胞と化する。
そして、平滑筋の細胞も出てくることによりアテロームプラークが形成される。
このアテロームプラークができるから血管が詰まるわけではないことに注意する。アテロームプラークの破綻が起こり、血栓が形成されることで血管が詰まる。

狭心症と心筋梗塞の違い

狭心症と心筋梗塞の違いは、プラークの安定性にある。
安定したプラーク(被膜が厚い、線維組織が厚く覆っている)の場合には心筋梗塞はなかなか起こりにくい(つまり労作性狭心症となる)。
不安定プラークの場合には、それが破綻して、そこに血栓が起き、心筋梗塞に移行しやすい。このプラークが破綻をすると血栓ができるひとつの理由として、内皮細胞がはがれ
て、中の線維組織などが出て、血管の外のものが露出することが挙げられる。
プラークの中には、TF(組織因子)というものがたくさん存在する。TF(組織因子)はマクロファージが作る。TF(組織因子)が、このプラークが破れることによって、血管外に出てきて、外因系の凝固カスケードを活性化することで、凝固反応が促進される。これもひとつの血栓ができる要因である。

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