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バソプレシンの分泌障害により生じる中枢性尿崩症の機序。

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下垂体後葉が何らかの原因で障害されると、オキシトシンとバソプレシンの分泌異常が起こる。今回はバソプレシンの分泌障害によって起こる中枢性尿崩症についてまとめる。

中枢性尿崩症とは?

中枢性尿崩症とは、下垂体後葉の障害による抗利尿ホルモン(antidiuretic hormone; [ADH]、バソプレッシン)の分泌異常による疾患で、症状として、多尿や喉の乾きなどが挙げられる。

中枢性尿崩症は、多くの場合は外傷や脳腫瘍(胚芽種やランゲルハンス細胞組織球症、急性白血病など)に関連して発症する。そのほか、下垂体手術の合併症、サルコイドーシスや結核による影響、血管性病変(脳動脈瘤など)、脳炎・髄膜炎、リンパ球性下垂体炎など、その原因は多岐に渡る。

治療は、ADHの誘導体である酢酸デスモプレシン(DDAVP)を使用する。ADHの構造を少し変えた薬剤で、点鼻薬として使用する。

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医師国家試験の過去問として以下の問題があった。

35歳の男性。口渇を主訴に来院した。生来健康であったが、1か月前から口が異常に渇き、お茶やジュースなどを1日約5リットル飲むようになった。尿量も多く、夜間に3回以上排尿のために覚醒するので睡眠も障害されるようになった。意識は清明。身長172cm。体温36.7℃。脈拍80/分、整。血圧120/76mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。尿量4,500ml/日。血液所見:赤血球520万、Hb 14.5g/dL、Ht 48%、血小板25万。血液生化学所見:血糖85mg/dL、HbA1c 5.2%(基準4.3~5.8)、総蛋白7.2g/dL、アルブミン5.2g/dL、尿素窒素24.0mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、尿酸7.5mg/dL、総コレステロール215mg/dL、AST 32U/L、ALT 28U/L、LD 220U/L(基準176~353)、Na 147mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 105mEq/L、Ca 9.2mg/dL、P 4.0mg/dL。尿浸透圧:デスモプレシン〈DDAVP〉5μg点鼻投与前160mOsm/l、投与後460mOsm/l。
この患者にみられるのはどれか。a 網膜の軟性白斑
b 視床下部の口渇中枢障害
c バソプレシン受容体機能低下
d 5%高張食塩水負荷でバソプレシン分泌反応低下
e 頭部単純MRIのT1強調矢状断像で下垂体後葉の信号強度の増強

正解はd。
口渇・多飲。血糖85mg/dl、HbA1c 5.2%より糖尿病ではない。夜間覚醒があるため、心因性多飲は否定的。
残す候補は中枢性尿崩症または腎性尿崩症であるが、デスモプレシン〈DDAVP〉5μg点鼻により改善がみられているため、中枢性尿崩症の診断。
中枢性尿崩症ではADH分泌が低下しているため、5%高張食塩水負荷では反応しない。よってdを選ぶ。

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